「ゲーミングPCを買いたいけど、CPUってどれを選べば良いの?」
「IntelとAMDって何が違うの?Core i7とかRyzen5とか、数字の意味が分からない」
ゲーミングPC選びで多くの人が悩むのが、CPUの選択だ。CPUはPCの頭脳とも言える重要なパーツで、ゲームの快適さを大きく左右する。
この記事では、ゲーミングPC向けのCPU選びについて、初心者の人にも分かりやすく解説していく。
この記事を読めば、自分のプレイスタイルや予算に合った最適なCPUを見つけられる。
CPUとは?ゲームにおいてなぜ重要なのか?
CPU(Central Processing Unit)は、PC全体の処理を担当するパーツだ。人間で言えば「脳」にあたり、あらゆる計算やデータ処理を行う。
ゲーミングPCにおいては、以下のような処理でCPUの能力が重要になる。
- ゲーム自体のロジック処理:キャラクターの動き、物理演算など。
- OSやバックグラウンドアプリの処理:ゲームをしながら、Discordや配信ソフトなどを動かす場合。
- グラフィックボードへのデータ供給:高性能なグラフィックボードが性能を発揮するためには、CPUがスムーズに描画命令を出す必要がある。
CPU性能が低いと、フレームレートが安定しなかったり、カクつきが発生したりして、快適なゲームプレイができない。
特に多くのキャラクターやオブジェクトが登場するオープンワールドゲームや、リアルタイムストラテジーなどはCPU負荷が高くなる傾向にある。
主要メーカー:IntelとAMD、どちらを選ぶべき?
CPUメーカーの二大巨頭がIntel(インテル)とAMD(エーエムディー)だ。
どちらも高性能なCPUを開発していて、ゲームやソフトによって優劣が変わることも多いため、一概にどちらが優れているとは言えない。
それぞれの大まかな特徴は以下の通り。
Intel | AMD | |
---|---|---|
ブランド名 | Core iシリーズ Core Ultraシリーズ | Ryzenシリーズ |
特徴 | 長年にわたって高いシェアを誇る。 シングル性能に優れる傾向がある。 | マルチ性能に優れる傾向がある。 コストパフォーマンスに優れた低価格CPUもあり、価格帯の選択肢が広い。 |
ゲーミング | シングル性能が高い傾向にあるため、フレームレート重視のゲームで強みを発揮することがある。 | マルチ性能が高いため、ゲーム配信などのマルチタスクで強みを発揮しやすい。 ゲームにおいて高いフレームレートを出せるX3Dモデルもある。 |
当サイトではAMDをおすすめする。理由は以下の通り。
- 前シリーズの安価CPU~最新の高価CPUまでBTOで扱われていて、自分に合った価格帯から選べるから
- ゲームで高いパフォーマンスを出せるCPUがあるから
- 直近のIntelのCPUは深刻な不具合があったり、パフォーマンスがイマイチだったりと、印象が悪いから
SteamというPCゲームのプラットフォーム利用者のデータ(2025年3月)によれば、Intel:AMD=6:4だ。昔のようにIntel一強ではなく、むしろAMDのシェアがどんどん拡大している。
ゲーミングPCユーザー全体の傾向から見て、AMDの勢いが凄まじいことは明らかだ。
CPUのスペックと性能の見方を解説
CPUの性能は、型番やスペック表に記載された数値からある程度判断できる。ゲーミングPC選びで特に重要な項目を見ていこう。
コア数/スレッド数
コアとは、CPU内部にある演算回路の中心部分だ。脳そのものの数と思って良い。コア数が多いほど、同時に処理できる作業量が増える。
スレッドとは、OSから見たときの論理的なコア数のことだ。脳1つにつき、左脳と右脳の2つがあるというイメージで良い。(基本的には、1コアにつき2スレッド)
ゲーミングPCに搭載するCPUの場合、コア数/スレッド数の目安は以下の通り。
- 最低限:4コア/8スレッド(BTOでの扱いはほぼない)
- 主流:6コア/12スレッド、8コア/16スレッド
- クリエイター:12コア/24スレッド以上
ゲーム用途であれば6コアで十分であり、汎用性重視で8コアまでは候補になる。
12コア以上はゲームでは活かせず、ゲーム配信やクリエイターしか選ぶ意味がない。
クロック周波数
クロック周波数は、CPUが1秒間に処理できる回数を示す数値だ。クロック周波数が高いほど、個々の処理速度が速くなる。
CPUのクロック周波数は、以下の2種類が記載されている。
- ベースクロック:通常動作時の周波数
- ブーストクロック:高負荷時に自動的に引き上げられる最大周波数
クロック周波数は、CPUのスペックを表す1つの指標ではあるが、数値自体にあまり意味はない。(例えば「4.0GHzを越えているから高性能」といった基準がない)
IntelとAMDで比べる意味も薄いため、知っておく程度で問題ない。
キャッシュメモリ
キャッシュメモリは、CPU内部にある高速なメモリだ。CPUが頻繁に使うデータを一時的に保存し、メインメモリへのアクセスを減らすことで、処理速度を向上させることができる。
ゲームで重要なのは「L3キャッシュ」だ。L3キャッシュが多いほど、ゲームのデータを多く保存できるため、プレイヤーのランダムな行動にも対応でき、高いフレームレートを出すことができる。
AMDのX3Dモデル(例:Ryzen7 9800X3D)は、L3キャッシュを大幅に増量することで、ゲーミング性能を高めている。すべてのゲームでL3キャッシュの恩恵があるわけではないが、ゲーム最強CPUはX3Dモデルと言って良い。
世代
基本的には新しい世代ほど、性能、電力効率、機能が向上している。特別な理由がない限り、最新世代か1つ前の世代を選ぶのがおすすめだ。
CPUの型番を見ることで、何世代なのかを判別できる。
Intelの場合
世代(Core i) | CPU例 |
---|---|
14世代 | Core i7-14700 |
13世代 | Core i7-13700 |
12世代 | Core i7-12700 |
Core iシリーズの型番「Core i7-14700」の場合、14の部分が世代だ。
例えばCore i7-14700とCore i7-13700を比べると、14世代のCore i7-14700のほうが高性能だとわかる。
世代(Core Ultra) | CPU例 |
---|---|
シリーズ2(2世代) | Core Ultra7 255H |
シリーズ1(1世代) | Core Ultra7 155H |
Core Ultraシリーズの型番「Core Ultra7 265」の場合、2の部分が世代だ。(厳密には『シリーズ』なのだが、実質的には世代を表す)
AMDの場合
世代 | CPU例 |
---|---|
6世代(Zen5) | Ryzen7 9700X |
5世代(Zen4) | Ryzen7 7700X |
4世代(Zen3) | Ryzen7 5700X |
型番「Ryzen7 9700X」の場合、9の部分が世代だ。例えばRyzen7 9700XとRyzen7 7700Xを比べると、Ryzen7 9700Xのほうが高性能だとわかる。
AMD Ryzenの場合、数字と世代がズレている。世代の数字自体は重要ではなく、世代の見分け方さえ知っていれば良い。
グレード
グレードは、同じ世代のCPU間での性能ランクを表す。「用途」と言い換えても良い。
ランク | グレード | コア数(目安) |
---|---|---|
エントリー | Core i3 Ryzen3 | 4コア |
ミドル | Core i5 Core Ultra5 Ryzen5 | 6コア |
ハイクラス | Core i7 Core Ultra7 Ryzen7 | 8コア |
ハイエンド | Core i9 Core Ultra9 Ryzen9 | 12コア以上 |
グレードが高いほどコア数が多くなる。ゲームでは6~8コアもあれば十分なので、ミドル~ハイクラスのCPUを選ぶことが多い。
マルチタスクを行うクリエイターだけがハイエンドCPUを検討すると良い。
末尾のアルファベット(サフィックス)
型番末尾のアルファベットは、CPUの特性を表す。
Intelの場合
- 無印:特になし
- K:オーバークロック可能
- F:内蔵グラフィックス非搭載(画面を映すためにはグラフィックボードが必要)
- KF:オーバークロック可能、内蔵グラフィックス非搭載
無印とFが同性能。KとKFは無印より高性能。
ノートPC用CPUの場合はHなどの別のアルファベットが付くが、ここでは紹介しない。
AMDの場合
- X:高性能モデル(基本はこれ)
- X3D:大容量L3キャッシュ搭載(ゲームで高いパフォーマンスを発揮)
- G:内蔵グラフィックス搭載
ここでは詳しく解説しないが、AMDのサフィックスは非常にややこしい。ゲーミングPC用途であれば、XかX3Dを選ぶと覚えておいてほしい。
ゲーミングPC向けCPU選びのポイント
スペックの見方が分かったところで、具体的な選び方のポイントを紹介する。
- 予算を決める
- プレイしたいゲームの推奨スペックを確認する
- どのレベルのゲーム体験を求めるか
- グラフィックボードとのバランスを考える
- 将来性を考慮する
予算を決める
CPUはグラフィックボードに並び、PC全体の価格を左右するパーツだ。
CPUの4~6倍ほどがPC全体の価格となることが多いが、PCの価格は搭載するパーツによって全く違うので一概には言えない。
以下は、BTOで見かけるAMDのCPUの価格表だ。
CPU(AMD) | 価格 |
---|---|
Ryzen9 9950X3D | 136,800円 |
Ryzen9 9950X | 99,790円 |
Ryzen9 9900X3D | 116,800円 |
Ryzen9 9900X | 71,980円 |
Ryzen7 9800X3D | 93,800円 |
Ryzen7 9700X | 55,233円 |
Ryzen5 9600X | 38,061円 |
Ryzen7 7800X3D | 71,793円 |
Ryzen7 7700X | 48,592円 |
Ryzen5 7600X | 34,834円 |
Ryzen7 5700X | 25,498円 |
プレイしたいゲームの推奨スペックを確認する
遊びたいゲームが決まっているなら、そのゲームの公式サイトで推奨スペックを確認しよう。
美麗グラフィックが売りの最新ゲームの場合、最新世代の高性能CPUを要求されることもある。
どのレベルのPC体験を求めるか
- とにかくPCでゲームができれば良い → Ryzen5 7600XやRyzen7 5700Xなどの前世代の安価なCPU
- ある程度は高い性能・汎用性が欲しい → Ryzen7 9700Xなどの8コアで新しめのCPU
- ゲーム性能を重視したい → Ryzen7 9800X3Dなど
- クリエイティブ性能を重視したい → Ryzen9 9950Xなど
- ゲーム性能とクリエイティブ性能の両方を重視したい → Ryzen9 9950X3Dなど
グラフィックボードとのバランスを考える
CPUとグラフィックボードの性能がアンバランスだと、ボトルネックが大きくなり、PCが十分な性能を発揮できない。
例えば超高性能なグラフィックボードを搭載しても、CPUの性能が低いとグラフィックボードに十分なデータを送れず、グラフィックボードの性能を活かしきれない。
厳密な決まりがあるわけではないし、最新世代に近いCPUとグラフィックボードを選んでおけば基本的に問題ないが、おおよその目安は以下の通り。
- RTX4060/RTX4060Ti → Ryzen5
- RTX5070/RTX5070Ti → Ryzen7
- RTX5080/RTX5090 → Ryzen9
例えばRyzen5とRTX5080の組み合わせでも問題ないが、RTX5080を必要とするような人がRyzen5で満足できるとは考えにくい。現実的に、RTX5080を選ぶならRyzen9か、せめてRyzen7となるだろう。
将来性を考慮する
余裕のある性能のCPUを選んでおけば、将来的に新しいゲームが登場したり、PCの使い方を変えたりしたときに対応しやすくなる。
例えばRyzen5ではなくRyzen7を選ぶ、前世代ではなく最新世代を選ぶという選択は、将来性の点でおすすめできる。
ただし、過剰なスペックは無駄になる可能性が高いため、予算とのバランスが重要だ。
ゲーミングPCにおすすめのCPUを紹介
ほとんどの人は以下の3つから選べば良い。
- Ryzen5 9600X:ゲーム目的ならこれで十分。基本的にはRyzen7 9700Xと同程度のゲーム性能。
- Ryzen7 9700X:汎用性重視ならおすすめ。コア数を要求されるゲームでもパフォーマンスを維持できる。
- Ryzen7 9800X3D:ゲーム性能を最重要視するならこれ一択。ゲーム以外ではRyzen7 9700Xに若干劣るが、気になるほどの差ではない。
CPUの選び方がわからない初心者が、Ryzen9を必要とする作業をするとは考えにくいので、Ryzen5かRyzen7から選んでおけば間違いない。
まとめ:最適なCPUを選んで最高のゲーミング体験をしよう
ゲーミングPCにおけるCPU選びは、快適なゲームプレイを実現するために重要なステップだ。
- IntelとAMD:優劣は一概には言えないが、直近で優れていてシェア率にも勢いのあるAMDがおすすめ
- スペック:コア数、クロック周波数、世代などを理解し、自分の目的に合ったものを選ぶ
- バランス:最も重要なのは、CPUとグラフィックボードのバランス。
- おすすめ:ゲームだけならRyzen5 9600X、汎用性ならRyzen7 9700X、ゲームを最重要視するならRyzen7 9800X3D
この記事を参考に、自分のプレイスタイル、予算、将来の展望に合った最高のCPUを見つけ、快適なゲームライフを手に入れよう。
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