「パソコンが欲しいけど、ゲーミングPCと普通のPCって何が違うの?」
「ゲームはしないけど、ゲーミングPCの方が性能が良いならそっちを選ぶべき?」
パソコン選びの際に、このような疑問を持ったことのある人は多い。一見すると似ているようで、実はゲーミングPCと普通のPCには明確な違いがある。
この記事では、ゲーミングPCと普通のPCの主な違いを、性能、価格、用途の観点から徹底比較し、それぞれどのような人におすすめなのかを分かりやすく解説する。
この記事を読めば、自分に最適なパソコン選びのヒントを見つけることができる。
そもそもゲーミングPCとは?
ゲーミングPCとは、「PCゲームを快適にプレイすること」を主な目的として設計されたパソコンのことだ。高画質で滑らかな映像表示や、複雑な処理をスムーズに行うために、高性能なパーツが搭載されている。
ゲーミングPCの主な特徴
- 高性能なグラフィックボード(GPU):3Dグラフィック処理能力が高く、高画質・高フレームレートでのゲームプレイを実現する。
- 高性能なCPU:ゲームの複雑な処理や、他のアプリケーションとの同時実行をスムーズに行う。
- 大容量メモリ(RAM):ゲームデータの読み込みや処理を高速化し、快適なプレイ環境を提供する。
- 高速ストレージ(SSD):ゲームの起動やロード時間を大幅に短縮する。
- 強力な冷却システム:高性能パーツは発熱量が大きいため、安定動作のために冷却ファンやヒートシンクが強化されている。
- 安定した電源ユニット:高性能パーツに十分な電力を供給するための、大容量で安定性の高い電源が搭載されている。
- 特徴的なデザインと拡張性:LEDライティングが施されたり、内部が見えるデザインだったりすることが多い。将来的なパーツ交換や増設がしやすいように拡張性が高いモデルが多い。
普通のPCとは?
普通のPCとは、Webサイトの閲覧、メール、文書作成、動画視聴、簡単な写真編集など、日常的な作業やビジネス用途を主な目的としたパソコンだ。
ゲーミングPCほど高い性能は要求されないため、比較的安価なモデルが多いのが特徴だ。
普通のPCの主な特徴
- 低負荷の用途に対応:日常的な作業からビジネス、簡単なクリエイティブ作業のような、低負荷の用途に対応できる。
- 低価格モデルが多い:数万円で購入できるモデルが多い。
- CPU内蔵グラフィックスが主流:高度なグラフィック処理を必要としないため、CPUに内蔵されたグラフィック機能を使うか、性能の低いグラフィックボードを搭載していることが多い。
- デザインや携帯性の重視:シンプルなデザインのモデルや、持ち運びに便利なノートPCタイプが豊富。
- 省電力性: ゲーミングPCに比べて消費電力が低い傾向にある。
ゲーミングPCと普通のPCの主な違いを比較
項目 | ゲーミングPC | 普通のPC(一般的なPC) |
---|---|---|
主な用途 | PCゲーム、動画編集、3DCG制作、ライブ配信など高負荷処理 | Web閲覧、メール、文書作成、動画視聴、ビジネス用途など |
グラフィックボード(GPU) | 高性能な専用GPUが必須 (NVIDIA GeForce RTX/GTX, AMD Radeon RXシリーズなど) | CPU内蔵グラフィックス、またはエントリークラスのGPUが多い |
CPU | 高性能なモデルが多い (Intel Core i7/i9, AMD Ryzen 7/9など) | 用途に応じて様々 (Intel Core i3/i5/i7, AMD Ryzen 3/5/7など) |
メモリ(RAM) | 16GB以上が主流、32GB以上も多い | 8GB~16GBが主流 |
ストレージ | 高速なNVMe SSDが主流 | SATA SSDまたはHDD。最近ではNVMe SSD搭載モデルも増加中 |
冷却性能 | 非常に高い (大型ファン、水冷システムなど) | 標準的な冷却性能 |
電源ユニット | 大容量・高効率なものが多い (600W以上が目安) | 比較的小容量 (300W~500W程度が多い) |
デザイン | LEDライティング、特徴的な筐体が多い | シンプル、スタイリッシュ、ビジネス向けなど様々 |
拡張性 | 高いモデルが多い | モデルによる(ノートPCは低い傾向) |
価格帯 | 比較的高価 (15万円~100万円) | 比較的安価 (数万円~20万円程度が中心) |
違い1:グラフィック性能(GPU)が圧倒的に違う!
ゲーミングPCと普通のPCの最も大きな違いは、グラフィックボード(GPU)の性能だ。GPUは、モニターに映像を出力するためのパーツで、特に3Dグラフィックスの処理能力に大きく影響する。
- ゲーミングPC: 最新の重いゲームを高画質・高フレームレート(1秒間に表示されるコマ数)で滑らかに表示するために、NVIDIA社のGeForce RTXシリーズやAMD社のRadeon RXシリーズといった高性能な専用GPUを搭載している。
- 普通のPC: 高度な3Dグラフィック処理はあまり想定されていないため、CPUに内蔵されたグラフィック機能(オンボードグラフィックス)を利用するか、比較的安価で性能の低いGPUを搭載している場合が多い。
このGPU性能の違いにより、ゲーミングPCは美しいゲーム映像をスムーズに楽しめるが、普通のPCでは要求スペックの高いゲームをプレイするのは困難だ。
違い2:CPUやメモリ、ストレージも高性能
ゲームを快適にプレイするには、GPUだけでなく、CPUやメモリ、ストレージといった他パーツの性能も重要だ。
- CPU: ゲーム内のキャラクターの動きや物理演算、AIの処理などを担当する。ゲーミングPCは、これらの処理をスムーズに行うために、高性能なCPU(Intel Core i7/i9やAMD Ryzen 7/9など)を搭載していることが多い。
- メモリ (RAM): ゲームのデータを一時的に保存しておくための領域。容量が大きいほど、多くのデータを一時保存でき、ゲームのロードや動作が快適になる。ゲーミングPCでは、16GB以上を搭載するのが一般的で、より快適さを求めるなら32GB以上を搭載するモデルもある。普通のPCでは8GBや16GBが主流だ。
- ストレージ: ゲームデータやOSを保存する場所。ゲーミングPCでは、読み書き速度が非常に高速なNVMe SSDを搭載していることが多く、ゲームの起動時間やロード時間を大幅に短縮できる。普通のPCでもSSD搭載が主流になっているが、ゲーミングPCほど高速な規格ではない場合もある。
違い3:冷却性能と電源ユニット
高性能なパーツは、動作時に多くの熱を発生させる。熱暴走(パーツが高温になりすぎて性能が低下したり、故障したりすること)を防ぐために、ゲーミングPCは冷却性能が非常に重視されている。
- 大型の冷却ファン
- ヒートシンク(放熱板)
- 効率的なエアフロー(空気の流れ)を考慮したケース設計
- 高性能モデルでは水冷システム
上記のようなパーツが採用され、長時間の高負荷なゲームプレイでも安定して動作するように設計されている。
高性能なパーツは消費電力も大きいため、それらに安定して電力を供給するための大容量で高品質な電源ユニットが搭載されている。
一方で普通のPCは、ゲーミングPCほどの発熱量や消費電力がないため、冷却システムや電源ユニットは比較的標準的なものが使われている。
違い4:デザインと拡張性
ゲーミングPCは、性能だけでなくデザインにも特徴があるモデルが多い。
- LEDライティングで内部や外部を装飾
- 内部のパーツが見える透明なサイドパネル
- 近未来的、あるいは攻撃的なデザイン
上記のようなデザインがよく見られる。もちろん、シンプルなデザインのゲーミングPCもある。
将来的にパーツを交換したり増設したり(グラフィックボードの交換、メモリの増設など)することを考慮して、拡張性の高いケースを採用していることが多いのも特徴だ。
一方で普通のPC、特にノートPCや一体型PCは、デザイン性や省スペース性を重視し、拡張性は低い傾向がある。
違い5:価格
高性能なパーツを多数搭載しているため、ゲーミングPCは普通のPCに比べて価格が高くなる傾向がある。
- ゲーミングPC: エントリーモデルでも10万円台後半から、ミドルレンジで20万円~30万円、ハイエンドモデルになると40万円以上、100万円以上のモデルもある。
- 普通のPC: 数万円で購入できる安価なモデルから、高性能なものでも20万円程度で購入できるモデルが多い。
ゲーミングPCの価格が高いのは、高性能なGPUやCPU、大容量メモリ、高速SSD、強力な冷却システム、大容量電源など、高品質なパーツを惜しみなく投入しているからだ。
用途による選び方:どっちを選ぶべき?
どちらのPCを選ぶべきかは、自分の主な用途と予算によって決まる。
ゲーミングPCがおすすめな人
- 最新のPCゲームを高画質・高フレームレートで快適にプレイしたい人
- 動画編集、3DCG制作、CAD、ライブ配信など、PCに高い負荷がかかるクリエイティブな作業をしたい人
- 将来的にパーツをアップグレードして長く使いたい人
- 高性能なPCを求めていて、予算に余裕がある人
普通のPCがおすすめな人
- 主な用途がWebサイト閲覧、メール、SNS、文書作成、簡単な表計算、動画視聴などの人
- PCゲームはプレイしない、またはブラウザゲームや軽い2Dゲーム程度しかプレイしない人
- できるだけ予算を抑えたい人
- 持ち運びやすさ(ノートPC)や設置スペース(コンパクトなデスクトップ)を重視する人
- 複雑な設定やメンテナンスは避けたい人
ゲーミングPCも普通のPCもBTOでの購入がおすすめ
BTOとは、CPUやメモリ、グラフィックボードなどのパーツ構成を、ある程度自分で選んで注文できる受注生産方式のパソコンだ。
ゲーミングPC・普通のPCのどちらを選ぶにしても、BTOには大きなメリットがある。
- 高いカスタマイズ性(自由度):最大の魅力は、自分の用途や予算に合わせてパーツを選び、本当に必要なスペック構成にできることだ。ゲーム用にグラフィック性能を重視したり、作業用にメモリを増やしたり、不要な機能を削ったりと、無駄のない「自分だけの一台」を作れる。
- 優れたコストパフォーマンス:必要なパーツだけを選び、不要な機能やプリインストールソフト(購入時にすでに入っているソフト)を省けるため、同等の性能を持つメーカー製PCよりも価格を抑えられる場合がある。賢く選べば、予算内でより高性能なPCを手に入れることも可能だ。
- 最新パーツを選びやすく、構成もシンプル:BTOは最新パーツの採用が早い傾向にあり、特に性能向上が著しいゲーミングPCでは有利だ。余計なソフトが少ないため、PCの動作が軽快な場合が多いのも嬉しい。
BTOパソコンは自由度とコスパを重視する方におすすめの選択肢だ。特に、高性能なパーツを組み合わせることが多いゲーミングPCでは、BTOのメリットをより大きく感じられる。
「BTOパソコンについてもっと詳しく知りたい」「特にゲーミングPCをBTOで選びたいけど、初心者で不安…」という人は、以下の記事で選び方を詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。
›【これで完璧】初心者でも失敗しないBTOゲーミングPCの選び方を徹底解説
ゲーミングPCはゲーム以外にも使える?
ゲーミングPCは、ゲーム以外の高負荷な作業も非常に得意だ。
- 動画編集:高画質な動画の編集やエンコード(書き出し)がスムーズに行える。
- 画像編集・イラスト制作:高解像度の画像処理や、レイヤーを多用するイラスト制作も快適。
- 3DCG・CAD:モデリングやレンダリングといった重い処理も高速にこなせる。
- ライブ配信:ゲーム画面と自分の映像を同時に高品質で配信できる。
- プログラミング・開発:大規模なプロジェクトのビルドや仮想環境の実行なども快適。
一般的な作業(Web閲覧、文書作成など)に関しても、普通のPCよりもはるかに快適に行える。
普通のPCでゲームはできる?
軽いゲーム(ブラウザゲーム、2Dゲーム、一昔前のゲームなど)であれば、普通のPCでもプレイできる場合がある。
しかし、最新の3Dゲームや高いグラフィック性能を要求するゲームを快適にプレイするのは難しい。
- カクカクしてスムーズに動かない(フレームレートが出ない)
- 画質を最低設定にしないと動かない
- そもそも起動しない
上記のような問題が発生する可能性が高い。
もしPCゲームを楽しみたいと考えているなら、最低でもエントリークラスのゲーミングPCを検討することをおすすめする。
まとめ:自分に合ったPCを選ぼう!
ゲーミングPCと普通のPCの主な違いは以下の通り。
- 性能:特にグラフィック性能(GPU)が大きく異なる。CPU、メモリ、ストレージ、冷却性能などもゲーミングPCの方が高性能。
- 価格:高性能なパーツを搭載するため、ゲーミングPCの方が高価。
- 用途:ゲーミングPCはゲームや高負荷な作業向き、普通のPCは一般的な作業向き。
- デザイン・拡張性:ゲーミングPCは特徴的なデザインで拡張性が高いモデルが多い。
どちらが良い・悪いではなく、それぞれ想定している用途が違う。
- PCゲームやクリエイティブな作業を快適に行いたい → ゲーミングPC
- Web閲覧や文書作成など一般的な用途がメイン → 普通のPC
この記事を参考に、自分の使い方や予算に合った最適なパソコンを選んで、快適なPCライフを送ろう。